【福山市不動産コラム⑯】賃貸住宅のボーナス期間を無駄に過ごしていませんか?
賃貸住宅のボーナス期間を無駄に過ごしていませんか?
賃貸住宅の需要は非常に底堅く、たとえ人口が減少しても一定の需要は必ず存在します。
とはいえ、入居率が70%や80%で良いかといえば、決して安定経営とはいえない状況です。
賃貸経営を行う以上、利益の最大化を目指すべきであり、入居率は95%前後で推移させたいところです。
そのために必要なことは何か。
それは、数ある競合物件の中から「入居者に選ばれる理由」を持つことです。
新築のうちは、“新築”というだけで選ばれる理由になります。
築10年までは、よほど賃料設定やエリア選定を誤らなければ、満室経営は難しくありません。
いわゆる、賃料を最大限に得られる“ボーナス期間”といえるでしょう。
この期間は減価償却もしっかり取れ、税金面でも有利なので、キャッシュフローにも余裕があります。
しかし、築年数が進むとともに、建物価値が下がり、賃料も下がっていきます。
できればこのボーナス期間中に、将来的に必ず発生する修繕費用を準備しておく必要があります。
ハウスメーカー等で建築したオーナーが、このボーナス期間を借上げ契約にして、手元資金を減らしてしまうのは、非常にもったいないといえます。
築10年を過ぎると、周辺の新築物件に負けはじめてきます。
部屋探しの際、「築10年以内」で検索条件を設定されてしまえば、検討リストにすら表示されなくなります。
それでも「選ばれる理由」があれば問題ありません。
そういった意味では、RC構造の物件は競合が少なく、優位性があります。
また、駅近など供給が少ない人気エリアにある物件も強い。
十分な「選ばれる理由」があるのです。
しかし、競合と比較して選ばれる理由がない場合、自分でその理由を作らなければなりません。
“決まる条件”を整えるしかないのです。
たとえば、家賃を下げる、初期費用を下げるといった対応。
それでも決まらなければ、リフォーム・リノベーションを行う、あるいは何か設備を追加する必要があります。
特にリフォーム・リノベーションや設備投資は、資金に余裕がなければ実施できません。
「決まったらリフォームします」では入居は決まりません。
そのため、入居率はどんどん悪化し、経営状況はさらに厳しくなっていきます。
資金繰りが苦しくなれば、賃貸経営は地獄と化してしまいます。
必要なときに先行投資ができるか、できないか——、特にボーナス期間でどれだけ利益を蓄えられるかがポイントになります。
中長期目標が無ければ、今年一年の経営計画はなんとなく作れても、結局いつどこに到達するかわからないものになります。
いつになったらサラリーマンを辞めることができるかわかりませんし、10年後に相続税がいくらかかるのかも結局よくわかりませんので、いつまで経っても不安です。
また今年一年の経営計画も無いままに突き進む方も多く、その経営判断も常に場当たり的になります。
想定していない退去や修繕費、そして何の打算も対策なく確定申告をしてあまりの税金の額に絶句します。
場合によっては現金が不足する方もいますが、こうなっては目的がなんだったのかすら分からなくなります。
やはり目的と将来目標から逆算して1年後にはこうなってないといけないという目標を設定したうえで、今年一年の行動計画を作成する必要があります。
母数が少ないとブレ幅は大きいですが、退去率や年間入居率、次の募集時に必要な値下げ額や修繕費や広告費はある程度は読むことができます。
また、確定申告での税額も事前(1年前)に予測することはそんなに難しいことではありませんし、予測があれば一年間で十分に先手に対策することが出来ます。
退去が出ればリノベーションをして経費を稼ごうとか、9月までに退去が出なければ外壁塗装を今年やってしまおうとか、車を買い替えようとか色々ある訳です。
こうやって年間収支と行動計画を作っていきます。
出来れば文字にすれば忘れませんし、家族も理解が出来るということになります。
計画は作っても変わるでしょ?とたまに言われますが、私はいつも「はい、その通りです」とお答えします。
でも変わったことがわかるので問題がわかるし次の対策が打てるのです。
あとはセミナー等で自らの知識をブラッシュアップしていけば、かなり精度の高い経営計画ができるはずです。