コラム

【福山市不動産コラム⑫】貸すことも売ることもできない地獄

貸すことも売ることもできない地獄

アパートにせよ、マンションにせよ、一軒家にせよ、収益物件として運用している物件は、
入居者に借りて頂く、もしくは最終的には売却することで収益性を上げることができます。
空室になれば、入居希望者を見つけてきて、その入居希望者との間で賃貸借契約を締結することで、空室を埋めることが出来ます。
また、もう十分に稼いだ、もしくはこれ以上償却が取れない場合や、入居希望者を探すことはコストが合わない場合は、最終出口として売却を検討します。
不動産会社に依頼して購入希望者を見つけてきて、その購入希望者との間で売買契約を締結することで、売却することが出来ます。
またその売却益で新たに物件を購入する場合は、物件所有者との間で売買契約を締結し、新物件を購入することが出来ます。
そしてその物件の管理委託契約を管理会社と締結し、管理を委託します。

 つまり何が言いたいかというとオーナー様というのは、その立場上、契約行為から逃れることはできせん。
空室を埋めるたびに必要であり、その他にも管理の委託、売買、大規模修繕等、雨あられのように契約行為が降ってきます。
戸数が多かろうが、少なかろうが契約を全くしなくて良いオーナーは皆無であると言っていいでしょう。
ここにオーナー様にとって最悪のリスクが隠れています。

 もし、オーナー様が認知症になったらどうなるのか?
もし、オーナー様が交通事故等で判断能力を喪失したらどうなるのか?
万が一、オーナー様が亡くなった場合に関しては、最悪遺言が無くて揉めてしまったとしても、相続人の合意があれば空室を埋めるくらいのことはできます。
しかしながら、生きてはいるけど、判断能力が無いと判断されてしまった場合は、所有者は本人のままであり、所有者でない家族が勝手に話し合いで決める訳にはいきません。
そして本人には判断能力が無いので、契約行為自体ができないのです。

 契約行為が出来ないということは、一度退去した空室を埋めることができないので、家賃は時間と共に減る一方になります。
そして金融機関に認知症であることが分かったら口座は凍結され使えなくなります。
また金融機関への返済がある場合、最悪滞ることになりかねません。
そして売却したくても売却できないのです。
これは亡くなることよりもリスクが高い状態です。
事がここに至ってしまっては成年後見制度を使う他ありませんが、費用も手間もかかるし、本人が亡くなる(もしくは回復する)まで成年後見は続き、費用と手間の終わりが見えません。
施設への入所も必要になってくるでしょう。
誰がこの費用と手間を負担するのか?それもまた残された家族間で揉める要因となります。

 これが貸すことも、売ることもできない地獄です。
地獄なのは本人ではありません、残された家族が地獄なのです。
亡くなった時同様に、やはりここでも残される家族のために、自分がお元気なうちに取れる対策を検討しておくべきでしょう。

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